ついこないだ保険に加入しました。

保険といっても医療保険ではありません。
特許事務所を対象とする職業賠償責任保険です。

医療過誤訴訟のニュースがメディアを賑わすことが時々ありますね。

彼らは医療の専門家としての適切な処置を患者に施す義務があるので、医療過誤によって患者に損害を与えた場合、不法行為による損害賠償の対象になります。

民法の709条に規定があります。

僕ら特許事務所の業界でも、いい加減な仕事をした結果としてクライアントに損害を与えた場合にそのクライアントから損害賠償を請求される可能性があるわけです。

備えあれば憂いなし、
ということで、
こういった場合に賠償金と訴訟費用を肩代わりしてくれる保険に加入することにしたのです。
保険料自体はそれほど高くありません。
特許事務所を相手取った訴訟なんて極めて稀ですからね。

こういった商品がほかの専門職にもあるかはよくわかりません。
知り合いに獣医がいるのでちょっと聞いてみたら、
獣医の賠償保険なんてものは聞いたことがないそうです。

損害賠償を請求する場合、以下の3つの要件を原告側が立証しなくてはならないことになっています。
(1)被告側に故意また過失による不法行為があること
(2)原告側に損害が発生していること
(3)(1)と(2)の間に因果関係があること

医療過誤の訴訟にせよ、特許事務所を相手取った訴訟にせよ、一番立証が難しいのは(3)です。

たとえば、僕があるお客様の発明の特許出願の依頼を受けた、僕が申請書類に必要なことを全部書いていなかったので特許にならなかった、特許になってれば青色発光ダイオード並みの利益を稼げたのにどーしてくれるんだー、なんて訴えが提起された場合、僕の仕事の質が悪かったこととお客様の遺失利益との因果関係を立証するのって、ほとんど不可能です。

そういった事情もあって、
特許事務所の仕事の不手際についてクライアントが訴えを提起しても、特許事務所側が負けることはほとんどない、というのが実情です。


ですが、過去には特許事務所側が負けて賠償金を払わされた実例もあります。

どんなミスをした場合か?。

「年金管理ミス」です。

年金といってもお爺ちゃんお婆ちゃんがもらうあれとは違います。

この話の続きはまた次回。