パパ連れてってよお(三四郎)

戸田ゼミコラムのアーカイブです。このコラムはすでに連載を終了されています。

2012年05月

イクメン日記もネタが枯れ気味です。
今回と次回は仕事について少し話そうかと思います。

みなさん。
特許権の権利範囲ってどうやって決めてるかわかりますか。

「名詞句」を使って決めなくちゃならないっていうルールになっています。
名詞句。つまり、名詞の前につける修飾語です。

どういうことか分からない?
と思いますので簡単な例で説明します。

依頼者A:このたび弊社で新製品を発売することになりました。今日は試作品を持ってこちらに伺いました。

代理人B:これですね。どこに特徴があるんですか。

依頼者A:これまでの鉛筆は側面が丸い形状をしていました。だから机の上に置いておくと転がってしまいます。そこで、新製品では側面を6角形にしてみました。これで容易に転がりにくくなります。

代理人B:なるほど。これは売れそうですね。ほかには工夫された点はありますか。

依頼者A:工夫というほどのことはありませんが、端部に消しゴムをつけてみました。これでしたら字を書き間違えたときに鉛筆をひっくり返せばすぐに消せます。

なんていう遣り取りがあったとしましょう。

僕ら代理人は、発明者と打ち合わせをして発明品の特徴を詳細に説明してもらい、それを基に特許の申請書類を執筆して特許庁というお役所に提出します。いってみれば代書屋です。

依頼者Aさんは自社で開発した鉛筆を特許で保護してもらいたいようです。

「鉛筆」を形作る特徴には様々なものがあります。
芯の硬さ。側面の色。長さ。太さ。重さ。光沢。価格。側面に彫り込んであるマークなんてのも特徴の1つといえます。

特許の申請書類の該当欄(専門用語で「請求項」といいます)にただ「鉛筆」とだけ書いてしまうと、「鉛筆」と呼ばれるものはすべて自分の許諾なしに作ったりできないようにしてくれ、と国にお願いしてるものとして取り扱われてしまいます。こんなお願いは常識的に考えて通りませんよね。

なので、「鉛筆」の前に発明の特徴を示す修飾語をつけるわけです。

依頼者Aさんのケースだったら、こんな修飾語の書き方が考えられます。

1.側面が6角形になっている鉛筆

2.側面が6角形になっていて端部に消しゴムがついている鉛筆

さて。
この2通りの書き方のうちどちらで特許をとったほうが得でしょうか。

答えは「側面が6角形になっている鉛筆」です。

2.で特許をとったら、他社の鉛筆が「側面が6角形になっていること」と「端部に消しゴムがついていること」の両方の特徴を具備していることを立証しないと特許権侵害が成立しません。
だけど、1.で特許をとったら、「側面が6角形になっていること」さえ立証できれば特許権侵害が成立するわけです。

逆にいうと、
「側面が6角形になっていて端部に消しゴムがついていて芯の硬さはHBで側面の色は蛍光色で…」というように修飾語をたくさんつければつけるほど特許は取りやすくなり、その分だけ特許権により捕捉し得る技術の範囲は狭くなるわけです。

ここまで読んでいただけた方なら、「側面が6角形になっている鉛筆」じゃダメだってことがお分かりだと思います。
側面を3角形、5角形、7角形にしても鉛筆は転がらない。6角形にしたものと効果は同じ。

だけど、これらは「側面が6角形になっている」という特徴は備えていないから特許権侵害にならない。
つまり、代替技術を全くカバーしていないわけです。
「側面が多角形になっている鉛筆」にしたほうがお得ということになりそうです。

特許に関わる仕事では、「抽象的か具体的か」、ということにすごく気を遣います。
用語の選び方一つで成立する特許の価値が違ってしまうなんてことが起こり得るからです。

皆さんの中には、新聞等で「△△社、▽▽技術について特許取得」なんて記事を読んで、「この会社は技術力があるから投資先として有望かも」なんて思った経験のある方もいるかもしれません。

だけど、特許を取ること自体はそれほど難しいことではない。
発明を取り入れた製品の特徴をたーくさん修飾語として付け加えていけば、どこかの時点で特許になるからです。
成立した特許がどの程度の参入障壁になっているのかは、その書類の「名詞句」を読んでみないとわからないわけです。

なので、個人的には、特許成立に関わる情報は投資の判断材料としてはあまり参考にならない、そんなふうに捉えるようにしています。

東京の新宿御苑。
芝生の手入れが行き届いた広々とした公園です。
この公園の一画に「母と子の森」があります。
ここで催された自然観察会に参加してきました。

主催者は「新宿御苑森の会」というボランティア団体です。

参加者は30人ほど。
3グループに分かれます。
グルーブの引率はもちろん森の会の人たち。
みなさん自然観察指導員の資格保有者です。

我がグループのガイド役は男性1人と女性2人。
植物や昆虫たちの解説を聞きながら森の中を散策するわけです。

さあみんな。

この草はなんという名前か知っていますか?
わからない?
じゃあにおいをかいでみようか。
これはね。
キュウリグサっていう名前なんだよ。
きゅうりのにおいがするでしょ。

子供たちしきりに匂いを嗅いでいます。

この植物はなんだか知っているかな。
この茎を触ってみて。

子供たちが茎を触ると黒いものが飛び散りました。

これはね。かきどおしっていいます。
種をつけてそれを遠くに飛ばします。

みんなここ吸ってみて。
あまいでしょ。
これはおどりこ草といいます。
甘い汁が出るんだね。

リーダー役の男性は50代ぐらい。
年季が入っている感じで話も面白い。
飽きさせません。

後方からサポートしている女性の会員さんはずいぶん若め。
中学生でしょうか。

「どのくらいの頻度でこの観察会はやっているんですか?」

「2か月に一回です。」

「主催者の方はどんな方たちなんですか?」

「新宿御苑森の会に所属してる人です。あそこで話しているのは私の父なんです。」

「へえー。そうなんだ。」

…なんて他愛もない話をしながら歩き回っているうちに次女が抱っこしろと言い出しました。
この手の催しは次女にはちと早かったようです。
これ終わったらアイス食べられるんだよねなんて言っています。
そういう約束はよく覚えています。
最後の15分ぐらいは次女を抱っこして歩くことになってしまいました。

次回は6月。
なんでも次回は夜間の開催だそうです。
夜の虫や鳥たちの行動を観察するんだとか。
参加資格は4年生以上なのでうちの子たちはだめです。

ほとほと疲れたGWの休日でした。

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